人材紹介に効く!感情を動かすスカウトはライティング技術で作れる

この記事の担当者

木村 春奈

【人材業界専門エージェント】株式会社インプレッション
リサーチャーグループ マネージャー 入社7年目

転職市場では、候補者が毎日数多くのスカウトメールを受け取っています。
その中で「開封され、最後まで読まれ、行動につながるスカウト」を書くには、単なる情報提示では不十分です。
本記事では、人材紹介におけるスカウトテンプレに「新PASONAの法則」を活用し、候補者の感情を動かすライティング技術を解説します。

 

感情を動かすスカウトテンプレとは

スカウトテンプレは「文章の型」以上の存在です。候補者の共感を呼び、行動を促すための心理的仕掛けを含んでおり、
単なる定型文では、候補者の心に届きません。
人材紹介の現場では、候補者は毎日複数のスカウトを受け取るため、印象に残らなければすぐにスルーされてしまいます。

感情を動かすスカウトテンプレとは、候補者が「自分のことを理解されている」「自分にとって必要な情報だ」と感じる構成を持った文章です。
自己紹介や求人内容を羅列するだけでなく、候補者が抱える課題や将来の不安に寄り添い、それを解決できる道を提示する必要があります。

こうしたスカウトは「共感」から始まり「行動喚起」で締める構造を持っています。つまり、心理的な流れを意識したライティング技術が必要であり、その鍵となるのが「新PASONAの法則」です。

 

新PASONAの法則を活用してテンプレを作ってみる

新PASONAの法則をスカウトテンプレに当てはめると、候補者の行動を促す文章が自然に組み立てられます。

新PASONAの法則とは、Problem(問題)、Affinity(親近感)、Solution(解決策)、Offer(提案)、Narrowing down(絞込)、Action(行動)という流れで構成されるライティング技術です。
スカウトテンプレに応用することで、候補者が「読まざるを得ない」「動かざるを得ない」構造を作ることが可能です。

Problemでは「現職における不満や課題」に触れます。
Affinityでは「同じような状況を経験した人が成功した事例」を紹介して共感を得ます。
Solutionでは「自社の求人がその課題をどう解決できるか」を提示します。
Offerでは具体的な条件や魅力を示し、
Narrowing downでは「特定の人材だけに価値がある特別な機会」と伝えます。
最後にActionとして「ぜひ一度カジュアル面談でお話ししましょう」と行動を促すのです。

この流れに沿って書くことで、候補者の感情に訴え、かつ自然に応募や面談へ導く文章に仕上がります。

 

PASONAの法則を知る

まずはPASONAの法則そのものを理解することが、効果的なスカウトテンプレ作成の第一歩です。

PASONAの法則は日本にダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)を日本に広め、トップマーケターとして知られる神田昌典氏によって体系化されたものです。
旧来は「Problem(問題)」、「Agitation(扇動・煽り)」、「Solution(解決策)」、「Narrowdown(絞込)」、「Action(行動)」の5つで構成されていました。候補者や顧客が抱える「不安」や「欲求」を起点に、それを解決するストーリーを提示し、最後に行動へと導く点が特徴です。

旧PASONAの法則の最大の特徴である「Agitation(扇動)」が、顧客のネガティブな感情を引き起こし、反発されたり、企業への信頼を損なったりするリスクがありました。この問題点を踏まえ、神田昌典氏自身が後に、顧客に寄り添い共感を促す要素を取り入れた「新PASONAの法則」を提唱しています。

新PASONAの法則ではAffinity(親近感)の部分をより強化し、「あなたと同じような状況の人がこう変わった」というストーリーテリングを加えることで、より自然に解決策への興味を高めるように設計されています。

 

PASONAの法則の活用例

PASONAの法則は人材紹介だけでなく、さまざまな広告や販売の現場で活用されています。

「ジャパネットたかた」などのテレビショッピングを思い浮かべるとわかりやすいでしょう。
まず「家電が古くて調子が悪い(Problem)」を提示し、「同じように悩んでいた方がいました(Affinity)」と共感を示します。その後、「最新機種なら電気代も安く快適(Solution)」と解決策を示し、「今なら下取りでさらにお得(Offer)」と特典を提示します。そして「数量限定・今だけ(Narrowing down)」で希少性を強調し、「お電話は今すぐ!(Action)」で行動を喚起します。

同様の手法はランディングページ(LP)でも多用されています。
スクロールを進めるごとにProblemからActionへと自然に移行する構成が採用され、最後に「無料相談はこちら」や「今すぐ登録」など明確な行動導線が設けられます。

このようにPASONAの法則は、実演販売からウェブ広告まで幅広く応用され、心理的に人を動かす鉄板の流れとして確立しています。

 

新PASONAの法則をスカウトテンプレに活用するとどうなるか

スカウトテンプレに新PASONAの法則を応用すると、候補者の心を動かす確率が飛躍的に高まります。
従来のスカウトメールは「自己紹介+求人内容の羅列」で終わるケースが多く、候補者に響きにくい傾向があります。
そこで新PASONAの法則を活用すると、候補者が「読んでみたい」と思う物語的な流れを作り出せます。

例えば、Problemでは「現職でのキャリア停滞や将来不安」を言語化します。Affinityでは「同じ悩みを持った人が転職でキャリアを好転させた例」を示し、Solutionで「求人ポジションが提供できる解決策」を提示します。Offerでは「キャリアアップのための具体的条件」を伝え、Narrowing downで「特定スキルを持つ方だけに声をかけている」という特別感を醸成します。最後に、Actionで「まずはカジュアルに話しませんか」とスムーズに行動を促します。

このプロセスを踏むことで、候補者は単なる情報受信者ではなく、自ら行動する主体へと変化していきます。

 

新PASONAの法則をスカウトテンプレに落とし込むAIプロンプト例

AIを活用すれば、新PASONAの法則を自動的にスカウト文へ反映することも可能です。
AIに指示を与える際は、プロンプト(入力文)に具体性を持たせることがポイントです。

以下は、実際に弊社リサーチャーが使用している「新PASONAの法則」を前提にしたスカウトテンプレ生成のAIプロンプト例です。


### プロンプト例
あなたは返信率10%以上を達成しているプロのリサーチャーです。候補者の職歴、スキル、希望条件をもとに、PASONAの法則を活用して候補者の感情を動かすスカウトテンプレを作成してください。
Problemでは現職で考えられる不満や課題を3つ、Affinityでは共感を示す一文、Solutionでは求人で解決できる点を提示、Offerでは求人条件の魅力を端的に、Narrowing downでは特定人材への特別感を強調し、最後にActionで応募や面談を自然に促してください。
【候補者】候補者の職歴・スキル・希望条件を記載(※情報漏洩の観点から個人が特定される情報は記載しない※)
【求人情報】添付したい求人内容を記載

 

まとめ

このようにAIプロンプトに「新PASONAの各要素」を明示することで、精度の高いスカウトテンプレが短時間で作成できます。
ゼロから作成するよりも効率的で、かつ候補者に刺さる文章を安定的に生み出すことが可能となります。

このスキルを人材紹介の現場に取り入れることで、スカウト開封率や返信率の向上が期待でき、最終的に成約率アップにもつながります。
スカウトメールは、文字だけで候補者の心を捉える必要があります。
新PASONAの法則を活用したライティング技術で「他のスカウトとちょっと違う」と候補者に感じてもらえるスカウトを目指してみてはいかがでしょうか。

 

この記事の担当者

木村 春奈

【人材業界専門エージェント】株式会社インプレッション
リサーチャーグループ マネージャー 入社7年目

>インプレッションはあなたの転職活動を全面的にサポートします。

インプレッションはあなたの転職活動を全面的にサポートします。

お電話でのお問い合わせ
03-5213-1578(平⽇9:00〜18:00) | よくあるご質問