人材紹介での独立を目指す中で、多くの人が直面する「実績」と「準備」の壁。
今回お話を伺ったAさんは、いきなり起業するのではなく、プロキャリで1年間の準備期間を選びました。
なぜその選択をしたのか。どのように実績を積み、どのタイミングで独立を決断したのか。
独立までのリアルな思考と行動を語っていただきました。
※ご本人のご意向により、氏名の公表は控えさせていただいております。
- 1 これまでのキャリアと独立までの歩み
- 2 起業を志したきっかけ
- 3 人材紹介での起業を選んだ理由
- 4 起業に向けて最初に取り組んだこと
- 5 プロキャリを知ったきっかけ
- 6 すぐに独立せずプロキャリを選んだ理由
- 7 プロキャリの第一印象と制度への評価
- 8 プロキャリ参画初期について
- 9 求人開拓のリアルと葛藤
- 10 目標設計とスケジュール管理
- 11 独立時期のタイミング
- 12 プロキャリで得た学びと成長
- 13 1年間の活動で感じた大変さと楽しさ
- 14 プロキャリへの課題提案と組織への期待
- 15 プロキャリに向いている人の特徴
- 16 プロキャリに向いていない人の特徴
- 17 インプレッションの社風について
- 18 これから挑戦する方へのメッセージ
これまでのキャリアと独立までの歩み
まずは簡単に、プロキャリに入社されるまでのご経歴を教えてください。
新卒で大手グローバルメーカーに入社し、輸出入、物流、営業企画の仕事を計4年ほど担当していました。
その後、人材紹介会社に転職し、中国の支店にてゼネラルマネージャーとして現地拠点のマネジメントを経験しました。
帰国後は日系の人事コンサルティングファームに入社し、人事組織コンサルティングと人事実務を兼務。クライアントワークとして人事評価制度の構築に携わる一方、社内の採用・育成・評価制度の活性化など、人事領域全般の業務を経験しました。その後、インプレッションに入社し、今年独立しました。
起業を志したきっかけ
起業を意識するようになったのは、今から1年半〜2年ほど前ですね。これまで複数の組織に所属する中で、組織人として働くよりも、一度自分で事業をやってみたいという気持ちが少しずつ強くなっていきました。前職がコンサルティングファームだったこともあり、退職と同時に独立する方が周囲に多く、起業が特別なものではなく、比較的身近な選択肢として感じられる環境だったことも大きかったと思います。
また、自分が本当にやりたいことを実現しようと考えたときに、どこかの組織に属して環境を探すよりも、自分でその環境をつくってしまった方が早いのではないか、と考えるようになりました。人材紹介という仕事の形や、体調が優れないときでも自宅で働けるといった柔軟な働き方、そして女性として60代、70代まで長く働き続けることを見据えたときに、「誰かに雇ってもらう」よりも「自分で自分を雇用する」という発想のほうが、自分らしく中長期的に働けるのではないかと思ったこともあり起業しようと思いました。
人材紹介での起業を選んだ理由
そうですね。中国で人材紹介会社に勤務していた経験も、振り返ると大きな影響はあったと思います。ただ、その当時は起業するという発想はまったくありませんでした。
本格的に起業を意識し始めたのは、コンサルティングファームを辞める直前から、辞めた後に次のキャリアを考える段階になってからですね。
また、人事の立場で多くのエージェントの方々と関わる中で、「独立します」というご挨拶を受ける機会も多く、そうした姿を日常的に目にしていたことも影響していると思います。そうした積み重ねの中で、起業という選択肢が自然と現実味を帯びてきました。
起業に向けて最初に取り組んだこと
実際に起業を考え始めたとき、最初にどんなことから動き出されたのですか?
まずは、人材紹介業で起業するために何が必要なのか、という基本的なところから調べました。資本金の要件や、有料職業紹介事業として必要な条件などを一つひとつ確認していきましたね。同時に、人材紹介会社に勤めている知り合いにも話を聞かせてもらい、実務面やリアルな情報収集を進めていきました。
プロキャリを知ったきっかけ
起業を具体的に考え始めてから、人材紹介業で独立している方や業界で経験を積まれている複数の方にお話を伺う機会がありました。その中で共通して出てきたのが、「人材紹介で独立を考えているなら、インプレッションの木村さんに一度話を聞いてみるといい」というアドバイスでした。実際に二人の方から同じ言葉をかけていただき、これは一度きちんと話を聞いてみようと思ったのが、プロキャリを知ったきっかけです。
すぐに独立せずプロキャリを選んだ理由
大きな理由の一つは、集客面の現実でした。人材紹介で独立する場合、スカウトを活用した母集団形成がベースになりますが、私の場合、前職が人事だったため、スカウトサービスを利用するために必要なオファー実績や支援実績がありませんでした。そのため、そもそもスカウトのアカウントを利用できないという課題がありました。
独立を考え始めた当初、何人かの方に相談した際にも、「実績がない状態だとスカウトは使えないよね」という指摘を受け、まずは実績をつくるための“座席”をどう用意するかが必要だと痛感しました。そうした背景から、いきなり起業するのではなく、プロキャリを通じて実績づくりや準備期間をしっかり取ることが、現実的で合理的な選択だと考えるようになりました。
プロキャリの第一印象と制度への評価
いくつかありますが、一番大きかったのは「自分で開拓したクライアントを、独立後もそのまま引き継げる」という点でした。いずれ独立することを前提に考えていたので、この仕組みは非常に現実的でありがたいと感じましたね。
また、会社として育成やマネジメントのコストをほぼかけないことで、その分コミッションの割合が比較的高い点も印象的でした。実は、プロキャリの前に他の会社の話も聞いたことがあったのですが、ビギナーの場合は、コミッションが20%程度というケースもあり、条件が合いませんでした。その点、プロキャリは自分でクライアントを開拓することを前提としながらも、将来の独立を見据えた支援に重きを置いている制度だと感じました。独立後にクライアントを持っていってはいけない、さまざまな制約があるケースも多い中で、そうした不安を感じにくい設計になっていることは、これから人材紹介で独立を考えていた当時の自分にとって、とても満足度が高かったですね。
プロキャリ参画初期について
正直なところ、「何をしたらいいかわからない」という戸惑いはあまりなかったですね。プロキャリに参加される方は前提として一定の経験がある方が多いと思いますし、スカウトの考え方や、求職者がどんな課題を抱えていて、どんな会社に行きたいのかといったストーリー設計については、これまでの経験の延長線上で整理できていました。
一方で、これまで企業側の立場で媒体を使うことはあっても、人材紹介会社としてスカウト媒体を運用するのは初めてだったので、「どれくらい打てばどんな反応が返ってくるのか」「媒体ごとの反応の違い」「歩留まり感覚」といった部分は、実際にやってみながら試すフェーズだったと思います。最初の1ヶ月は、まさにトライアンドエラーの期間でしたね。
求人開拓のリアルと葛藤
求人開拓については、今でも課題だと感じていますが、スタート時は特に「知り合い経由」を大切にしていました。一つは、これまでの仕事を通じてお互いを知っているので求人をいただきやすいという点。
もう一つは、求職者の方に対して、安心して紹介できる企業でなければ、人材紹介会社として価値を提供できないと強く思っていたからです。
知り合いが勤めている企業であれば、その点の担保が取りやすい。
一方で、そこにこだわりすぎると、求職者に提示できる選択肢が少なくなってしまうというジレンマもありました。テレアポなどで一気に求人を増やすやり方も、理論的にはあったと思いますが、自分のスタイルではないとも感じていて。売上の最大化という観点では、まだ答えは出ていませんが、悩みながらも自分なりのやり方で少しずつ進めていった、というのが正直なところです。
人脈をうまく活かしながら、実際に足を運んで会いに行き、関係性をつくって、そこから紹介が生まれていく。
コンサルタントとして、とても理想的な動きだったと思います。
求職者の方から「他に求人はありませんか?」と言われて、「今はこれ以上出せないです」とお断りする場面も正直ありました。そのときに、もっと求人があれば売上も上がるのでは、と考えることもありましたが、今は“少しずつでも自分が納得できるやり方で続ける”ことを大切にしています。
目標設計とスケジュール管理
プロキャリに入る時点で、「このくらいの期間で卒業する」という目安は決めていたのですか?
はい、だいたい1年から1年半くらいというイメージは、最初から持っていました。入って少し経った頃には、自分の机の前に簡単な掲示板のようなものを置いて、「◯年◯月までに独立準備を開始」「◯年◯月に独立開業」といった宣言文を書いていました。あわせて売上目標も書いていて、バックキャストで考えないと独立は実現しないと思っていたので、ある程度スケジュールを組んで動いていましたね。
独立時期のタイミング
感覚としては、夏を過ぎたあたりですね。
ただ、「自分なら独立してやっていけるか」という自信よりも、外部環境の変化が大きなきっかけでした。具体的には、スカウト媒体の新規受付が止まったり、今後は枠を増やさないという動きが出てきたりしたことです。
自分のペースでスケジュールを組むというより、外部環境によってスケジュールを前倒しせざるを得ない状況になり、「このタイミングを逃すと、そもそも独立自体が難しくなるかもしれない」と感じました。
スカウトが使えないと、一人での母集団形成がかなり厳しくなるので、そこは一番大きな要因でしたね。
そうですね。もう一つの要因としては、制約が増える中でも、「この領域・この方向性であれば、自分は顧客に価値を提供できそうだ」という感覚が少しずつ持てるようになってきたことです。その感覚があったからこそ、スカウトの制約が出てきたタイミングでも、「それでもやっていけるかもしれない」と判断できたのだと思います。
ただ、どちらかというと前者の外部環境の影響のほうが大きかったですね。
プロキャリで得た学びと成長
高橋先生や阪部先生など、これまで自分一人ではなかなか接点を持てなかった方々の話を聞く機会があり、非常に学びが多かったですね。
単にノウハウとして「こうやる」という話を聞くだけでなく、それを自分の実務にどう落とし込むか、そして今やっていることが本当に質の高い実務になっているのか、という“答え合わせ”ができたことが大きかったです。
インプレッションでは定期的にそうしたインプットの場が用意されているので、学びを実務に反映させやすい環境だと感じました。
また、スカウトの打ち方やコミュニケーションのテクニックだけでなく、人材紹介事業者として求職者にどう向き合うべきか、といった姿勢や考え方まで含めて学べたことも、とても価値のある経験でした。
二つ目は、全体を通じて「試行錯誤する経験」が積めたことです。
これは今後も変わらず続いていくものだと思いますが、プロキャリという環境の中で、試し、振り返り、修正するプロセスを経験できたことは大きかったですね。
特に私のように、資本金や制度面はクリアしていても、支援実績がないためにスカウト媒体が使えないなど、何らかのハードルを抱えている人にとっては、プロキャリはとても良い準備期間・試行錯誤の期間になると感じました。
1年間の活動で感じた大変さと楽しさ
いわゆるハードワークや長時間労働という意味での「しんどさ」は、ほとんどなかったですね。以前コンサルティングファームで働いていたときは、深夜2時・3時まで働くことも珍しくなかったので、それと比べると体力的な負荷はかなり小さかったと思います。
ただ、別の意味での大変さはありました。
売上が思うように上がらない時期があったり、求職者の方が想定外の行動を取られたりと、人を相手にする仕事ならではの戸惑いはありましたね。そうした場面で、人材紹介事業者としてどう向き合うべきか、どこまで寄り添い、どこで割り切るべきなのか——
そうした“気持ちの面での試行錯誤”は、常にあったと思います。
一方で、楽しさは一貫してありました。この仕事そのものが好きですし、人材紹介を通じて、どうすれば人がより質の高い職業選択ができるのか、あるべき人材紹介の姿とは何か、と考える時間はとても楽しかったです。
また、人材紹介業界には良い方が本当に多く、周囲から学ばせていただく機会にも恵まれていました。そうした環境の中で試行錯誤できていると捉えると、「耐えられないほどのしんどさ」という感覚はなかったです。
プロキャリへの課題提案と組織への期待
実際にプロキャリで働いて頂き、プロキャリの課題や要望があれば教えてください。
前提として、プロキャリは「いずれ独立したい」という思いを持ち、ある程度経験のある方が入ってくる場だと思っています。
そのため、全員に当てはまる共通の正解があるわけではないと思いますが、そのうえで感じたことをお話しします。
まず一つは、せっかく同じインプレッションのプロキャリ事業部に所属しているので、もう少し“チームとしての力”を活かせる余地があるのではないか、という点です。
個々が独立志向で動くスタイルは前提としてありつつも、メンバー同士のコミュニケーションや情報共有が活性化すれば、結果的にプロキャリ全体の成約数や成果は、もう一段伸ばせるのではないかと感じました。
具体的には、顧客とのコミュニケーションにおける立ち居振る舞いや見せ方、いわゆるアピアランスの部分も含めて、「インプレッションの看板を背負ってどう見せるか」をフィードバックし合える場があると良いと思います。
プロキャリは基本的に一人で動くため、指摘し合う機会が少なく、気づかないうちにレベルが停滞してしまうこともあると感じました。
また、一定の経験を積んだ人ほど、自分に何が足りないのか、次にどこを伸ばせばいいのかを客観的に捉えるのが難しくなります。だからこそ、「ここをもう一段伸ばすならこうした方がいい」「このスカウトの打ち方はどうか」といった前向きなフィードバックや提案が飛び交う環境があると、より成長スピードが上がると思います。
加えて、メンバー全体で共通の目標を持ち、「この期間であと1件決めにいこう」といった動きができれば、組織力で成果を積み上げていくことも可能になるのではないでしょうか。そのためには、そうした動きを後押しし、推進する役割を担う存在がいることも重要だと感じました。
もう一つ挙げるとすれば、求人情報の読み合わせや共有の場です。
以前在籍していた人材紹介会社では、定期的に「今どんな求人が動いているか」「この求人に人を入れたいが推薦できていない」「似たような案件を持っていないか」といった情報を会社全体で共有していました。そうしたやり取りを通じて、1件でも多く成約につなげていく文化がありました。
プロキャリでも、そうしたコミュニケーションの場があれば、メンバー同士で助け合いながら成果を高めていけると思いますし、組織としても一段、二段とレベルアップしていけるのではないかと感じました。
プロキャリに向いている人の特徴
プロキャリにはいくつかコースがありますが、私がいた「独立・開業を目指すコース」に限って言うと、まず大前提として、独立までのプランをバックキャストでしっかり描ける人だと思います。
「いつまでに、どれくらいの売上をつくるのか」「いつまでに独立に必要な資金を用意するのか」といったことを具体的に決めていないと、正直なところ売上をつくるのはかなり難しいと感じました。例えば、独立に必要な資本金500万円という金額も、入ってから何となく貯まるようなものではありません。だからこそ、計画性とコミットメントを持って、自分で決めた目標を自分の力で遂行していける人が向いていると思います。
そのうえで、プロキャリにはインプレッションアカデミーなど、学びの機会がしっかり用意されています。そうした環境をうまく活用しながら、「今の自分に何が足りないのか」を自覚し、足りない部分を埋めていける人は、独立に向けて着実に前に進めるのではと思いました。
一方で、インプレッションは人も良く、居心地の良い環境なので、「疲れたから、このままもう少し居ようかな」と思ってしまうことも正直あります。
ただ、そうした感覚に流されてしまうと、結果的に独立は遠のいてしまうとも感じました。プロキャリを活かすためには、「自分の環境は自分でデザインし、変えていく」という意識がとても大切だと思います。
プロキャリに向いていない人の特徴
つまり、独立までの計画を立てず、期限や数字を具体的に描かないまま進もうとする人です。
また、能力要件の面でも一定の前提があります。
プロキャリは、スカウトの打ち方や立ち居振る舞いといった“ハウツー”を一から教えてもらう場ではありません。自分で売上を上げる一連の流れを、ある程度は一人で回せる力量が必要だと思います。
さらに、「なぜプロキャリに入るのか」「インプレッションで何を得たいのか」が明確でないまま参加すると、途中で中途半端になってしまう可能性が高いと感じました。
独立する覚悟はあるけれど、その前にここで何を補完したいのか、どんな課題を解決したいのかが整理できていないと、裁量の大きさが逆に負担になることもあります。
プロキャリは、マネジメントや育成にかかるコストを省いている分、コミッションの幅が大きく、自由度も高い仕組みです。その一方で、求人開拓も含めて基本的には自分でやる必要があります。そこに対して「誰かが何とかしてくれる」と期待してしまうと、かなり苦しくなると思います。
最終的には、腹をくくって「今やる」と覚悟を決められるかどうか。そこがプロキャリに向いているかどうかの分かれ目になるのではないでしょうか。
インプレッションの社風について
実際に関わってみて、インプレッションはどんな社風だと感じましたか?
私自身、在籍期間がそこまで長かったわけではなく、リモートでの関わりが中心だったので、すべてを理解できているとは言えませんが、率直に感じたのは「人柄の良い方がとても多い」という点です。
皆さんそれぞれ、ご自身の時間の使い方や、インプレッションとの関わり方のスタイルがすでに確立されていて、そのうえで参画している、という印象でした。誰かに型をはめられるというよりも、それぞれのスタンスや働き方が尊重されている雰囲気がある点は、居心地の良い点だと思います。そうした意味で、インプレッションは、それぞれが自立した形で関わっている組織だと感じました。
これから挑戦する方へのメッセージ
最後にプロキャリ(起業コース)を検討されている方へ、メッセージをお願いします。
一番大切なのは、「プロキャリで何を得たいのか」を事前に明確にしておくことだと思います。ここが曖昧なままだと、せっかくの環境を十分に活かしきれないまま時間が過ぎてしまう可能性があります。
もう一つのキーワードは「独力で」です。
プロキャリは、誰かが手取り足取り進めてくれる場所ではありません。
ときには孤独に仕事を進める場面もありますし、自分の力で顧客を開拓し、成果を積み上げていく必要があります。
ただし、それは「一人で何もかも抱え込む」という意味ではありません。
勉強会に主体的に参加したり、自らネットワークを広げたりと、独力で“環境を使いにいく”姿勢があれば、起業に向けてとても厚みのある時間になると思います。
プロキャリは、覚悟を持って主体的に動ける人にとって、次のステージへ進むための大きな後押しになる場だと思います。
ありがとうございました。

